創業34年。目まぐるしく店舗や業態が変化淘汰していく業界にありながら居酒屋「我楽多文庫」は名古屋の地にしっかりと根をおろし、名古屋人の心をずっと、ほっこりさせて来た。老舗中の老舗店舗を守り展開させながら、いつも真っ先に名古屋に新業態の店を仕掛けてきたのも同社である。そして、そんな同社に 2008年4月、新たに社長が誕生した。中星良雄氏、その人だ。今度はどんな風を吹き込んでくれるのか。イー・フィールドが目指す新たなフィールドと社長の素顔を追ってみた。
名古屋へは大学の入学をきっかけに、石川県からやって来た。仕送りがなかったので先輩に紹介してもらった、まかない付きの居酒屋ですぐにバイトを始めた。中星社長と居酒屋「我楽多文庫」との出合いはそこから。25年前にさかのぼる。当時、社長になりたいという特別な思いはなかったというが、今にしてみれば、すでに一つのターニングポイントを迎えていたこになる。
「最初は調理場で揚げ物とか洗い場を担当していたんですけど、そのうちホールに出てお客さんに接客しているスタッフがすごく楽しそうに見えて…自分も接客サービスがやりたくなっちゃったんです(笑)。その頃からかな、まわりからも商売向きだねなんて言われてました。確かに、学生の頃から人を楽しませることが大好きだったし、今ではよく言われるサプライズなんてことも、僕は昔っから大好きで四六時中、お客さんにサプライズなサービスすることばかり考えてましたね」
名古屋でレストランウエディングの
先駆けとなった「e-oriental-banquet」
大学の卒業間近まで「我楽多文庫」でアルバイトを続けていたが、あと数ヶ月で卒業という頃に大学をあっさり辞め、アルバイトではなく今度は社員として同社へ入社した。「経営学専攻で自分の興味のある授業だけは一生懸命勉強したから…もういいかな、と思って。後は早く現場に出て理論を実践したくなったのかもしれない」と言う。(「いや、そんなカッコいいもんじゃなかったかもしれない」と照れ笑いをしながら付け加えた)
入社して6~7年間は、新店ではなく、その時々で売上が伸び悩んでいるお店か、業績が振るわない店を店長として任され、任された店は必ず繁盛店にしてきた。
その経験から一つの確信が生まれた。
「店は人、そして店長で決まる」という、今も決して揺らぐことのない確信。自らの経験に裏付けされた確信は中星社長の経営戦略の真ん中にいつもある。
「飲食業界には、様々な経営スタイルがあります。出店数と出店スピードが勝負のメガーチェーンだったり、一業態で全国多店舗展開だったり、scrap and buildで短期的に店の業態を変えていくやり方だったりと…。どの理論も戦略も間違いはないし、いいとか悪いとかなんていうのはないんです。お客さんを喜ばせる接客サービスを実現できる人材、おいしい料理を作ることができる人材があれば、後は企業が選ぶやり方が違うだけで、どの戦略でもお店を成功させることができるということ。当たり前ですが、要は人なんです。だから経営目標に合わせて店舗展開を決めるんじゃなくて、社員の成長に照準を合わせて店舗展開を決めていく。がんばっている社員に更なる活躍のフィールドを創る=出店するというのがイー・フィールドのやり方なんです。そのチャンスによって社員は夢が叶ったり、成長できる。そして、結果お客さんに喜んでもらえるサービスにつながる。これが会社の存在価値だと思っています」
会社でもなく家でもなく、皆の帰れる場所かも
しれない。居酒屋「我楽多文庫」
居酒屋「我楽多文庫」というブランドは絶対に無くさないと中星社長は決めている。昔からずっと来てくれる大勢のお客さんを大切にしたいから。もちろん昔のままで、ということではない。時代の空気に合わせてお店の雰囲気やサービスは少しづつ変化させている。社員の成長の歩幅を見ながら、アクセス便利な地下鉄沿線に1年に1店舗位のペースで出店ができればと考えている。堅実な居酒屋業態で安定性の高い店舗運営を追求する一方、ウエディングレストランでは収益性の高い店舗運営で、より堅実に成長していける強い企業体質を作っている。
堅実な事業展開を見せながらも、マーケットに新しいブームを仕掛けていくのも得意とする同社。韓国ブームに先駆けて誕生した韓国創作料理「さくらとけなり」では、内装でも著名な店舗デザイナーとのコラボレーションが話題になったのは記憶に新しい。そろそろ又何か、マーケットに刺激を与えてくれそうな予感を感じずにはいられない…どうなんだろう。
「店舗数を競うことは、これからもしませんが、先にも述べたようにお客さんを喜ばせたり、社員の夢が叶うような新しい店舗の開発は常に進行しています。現段階ではまだオープンにすることはできないけれど、話題となるお店が皆さんの前に現れるのも、そんなに遠くないと思いますよ。ウエディングについても、 2~3年後を目標に新たな名古屋婚スタイルをお届けしたいですよね。楽しみにしていてください」
着実に、しなやかに、がイー・フィールドのスタイルらしい。
社員とのコミュニケーションも大切にしている中星社長。野球を皆で楽しむことも多いとか。今度は、一緒に富士山に登るらしい。山頂からは、これから登る新しい事業の山が美しく見えているのかもしれない。
中星 良雄氏(43才)
株式会社イー・フィールド 取締役社長
大学生の時から、アルバイトスタッフとして同社で働く。その後、社員へ。店長、ブロック長を経て32歳の時、経営企画室にて経営に関わる業務に携わる。社長(現会長)の傍らで現場を通して経営を学ぶ。2008年4月イー・フィールドの現職に。石川県出身。
| 社名 | 株式会社イー・フィールド |
|---|---|
| 住所 | 名古屋市名東区小池町59-1 サクラメントE 2F |
| 事業内容 | 居酒屋・アジアンレストラン・オリエンタルリゾート・レストラン・ブライダルの企画運営 |
| 店舗 | 我楽多文庫(6店舗)、あしびな、互坐、さくらとけなり、GARA、e-oriental-banquet |
2008年10月掲載
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