社名のコンシェルジュにあるように「おもてなし=サービス」を軸にフード業界に限らず、ウエディング、ホテル等あらゆる業界で人材育成、運営、商品企画に至るまでをトータルにプロデュースをする同社。事業であるプロデュースを自社でも再現させているサロンレストラン「トゥ・ラ・ジョア」とパスタハウス「プティ・ジョア」をここでは紹介。上原社長の原点を訪ねながら、もてなしの極意とは何かをたずねてみた。
大通りから小径に少し入ると華奢なアイアンの門扉が見えてくる。扉を開けるとその先は、アトリエに身をすっぽりと包まれてしまうかのような非日常空間がゲストをもてなしてくれる。~サロンレストラン「トゥ・ラ・ジョア」~、物語の序章はすでに始まっている。
「Mのアトリエがトゥ・ラ・ジョアのコンセプトなんです。Mは父の名前のイニシャルで、生涯父が愛した数々の画家達の絵がここに残されているんです」
空間がカタチではなく、物語が紐解かれていく時となり昼と夜、1日2組のみの至福の料理が感動に変わっていく。来店されたお客様の紹介の同席で予約を取ることができる。年内は予約でうまっているが、2009年は新たに予約を受付中。お客様との出会いを心待ちにしている。
サロンレストラン「トゥ・ラ・ジョア」。
“すべての喜び”を意味する。
トゥ・ラ・ジョアには飲み物とMのサラダ以外、定番のメニューはない。お客様に合わせて一人ひとり異なる料理でもてなされる。そして、次回来店した時も同じ料理が出ることはない。だからその時のレシピはもちろん、季節、お客様の表情、嗜好等々、緻密なお客様情報が厳重に管理されている。
そんな一期一会の料理を手がけるのは、上原社長が起業する時からずっと信頼しつづけている須本一信シェフ。彼が創る料理のカテゴリーには境界線がない。固定観念がないから、今までにはないオンリーワンの一皿を誕生させることができる。
成功する店には、行けば必ずあるお気に入りの一品と、今までには決してない新しいものがあると上原社長はいう。安心もないと、ただ新しいだけではだめなのだ。
“小さな喜び”を意味するパスタハウス
「プティ・ジョア」
「もっと大勢の人に来ていただくための家庭的なお店も作りたいと思ってできたのが“プティ・ジョア”です。もし、モンマルトルにイタリアンのお店が出来てゴーギャンやピカソ達の芸術家が足繁く通い、芸術の話で盛り上がる…そんなお店があったらおもしろいんじゃないかと(笑)。それが、お店のコンセプトです。店内の壁も森をイメージしたモスグリーンと太陽をイメージしたオレンジで一枚のアートとしてペインティングしてみました」
店では60種類程のパスタを楽しむことができる。麺はプティ・ジョア独自の製法で作られたオリジナル。パスタが専門だが、メインディッシュにも負けないサラダは野菜の美味しさを目覚めさせてくれる程。
ちなみに、モンマルトルにはイタリアンの店が一軒もないらしい。上原社長はまさにストーリーテラーを楽しんでいるようにも見える。
飲食業界の人材育成から運営プロモート、商品企画販売までヒューマンプロモートも手がけるコンシェルジュ。「お客様が喜んでくださる飲食の仕事が大好きだというのもあるんですが、おもてなしとは何かを指導する者として机上の理論ではなく、実践の理論を常に確かめ、感性を磨く場でもあるんです」、とレストランを経営する目的を話してくれた。
順風満帆で駆け抜けてきたかのように見える上原社長だが、現在のビジネスにたどり着くまでは決して平たんだったわけではない。
「音楽講師をしていた時、レストランでのピアノの弾き語りが、ある日結婚式場にも呼ばれ、気づいたら司会までやって…BGMや演出までもするようになっていました。好きなことをしたいという純粋な思いで走り続けていたら、自らもステージに立つライブハウスの経営をしていました。忙しい時は厨房にも立っていました(笑)。この時も、たまたまこのライブハウスで結婚式をしたいというお客様がみえて、料理、衣裳、照明、音響、司会…とにかく全てをプロモーションすることになりました。20年も前の話になります。当時、レストランウエディングという言葉はなかったと思います」
やがて、好きという情熱だけではビジネスを続けていくことはできなくなった。
「大失敗でした。でもその時の失敗を0ではなく、掛算にして新しいビジネスをしたいと決意し、ウエディングに関わるサービスをもっと専門的に学ぶために株式会社三松のドレス事業部へ入社。福岡から名古屋へやってきました」
接客、ドレスのスタイリスト、ディスプレイ、社員教育、店舗経営等あらゆる経験を積むことに。その経験をもとに1998年、独立。コンシェルジュは誕生した。
「今までの経験や失敗が凝縮して、新しい結晶となってコンシェルジュのサービスがあるんです」
どうしたら接客上手になれるのだろうか。
スタンダードはあるがマニュアルはない。それを通して経験をし、失敗して学ぶことでしか究極のサービスを身に付けることはできないという。コンシェルジュの研修がロールプレイングに力を入れるのもそこにある。
「笑顔になってもらうことを考え続け、ころんでは、また走り続ける。そうしていると自分なりの透徹したもてなしの理論が見えてくるはずです」
最近では、「伊豆東海岸国際観光モデル地区整備協議会」主催、~観光地伊豆を日本一のおもてなしへ~の<もてなし講座>の講師も務めている。人材やモノという貴重なリソースをいかに昇華させていくかということに力を入れていきたいと、新たな展望を語ってくれた。
上原 康子氏
有限会社コンシェルジュ 代表取締役社長
短大では幼児教育科を専攻。結婚式の司会や演出をする仕事をきっかけに自らレストランを経営、レストランウエディングのプロデュース等も手がけるようになる。ウエディングに関わるノウハウをもっと深めたいと思い1991年、株式会社三松のドレス事業部へ入社。前代未聞のトップセールを打ち立てる。ウエディングドレスの販売と社員教育を6年間務める。1997年、自身の経験をビジネスモデルとし『コンシェルジュ』の代表取締役社長として独立。著書に「ウルウルパワーで人が集まる」、「スタイリストハンドブック」がある。最近の一番の趣味は中国語。福岡県出身。
| 社名 | 有限会社 コンシェルジュ |
|---|---|
| 住所 | 愛知県名古屋市中区正木1-13-27 3E-Cozy |
| 事業内容 | ●ヒューマンプロモート(人材育成/運営プロモート/商品企画販売) ●フードプロモート(フードコンサルタント/サロンレストラン「トゥ・ラ・ジョア」、 パスタハウス「プティ・ジョア」の経営) |
2008年12月掲載
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