起業家であり、焼肉に注ぐ情熱と探究心はハンパない情熱家。たぶん四六時中、温度は下がることはない。 高校時代、UKミュージックに傾倒しながらバンドに夢中になり、ライブステージにも出るようになる。このまま、自分はミュージシャンになるのだろうと何の疑いもなく思っていたが、いつしかその情熱は「自分が納得できる焼肉店を創るのだ!」、という想いに変わっていた。松本社長が言う100点満点の焼肉店とは、いったいどういう店なのだろうか?
東桜店/街の活気を残しつつも寺町の佇まいがほんのり残る隠れ家的エリアにある。最初、不動産オーナーに焼肉店には貸さないと断られたが、どういう想いで店を作るのかを話し、賛同してもらった。
松庵自慢の「名物!上ロース」
贅沢にヒレ肉の厚切りを使用。高単価ながらお客様に絶対的な支持をいただいている。
「小学生の頃から、母親が営む松阪牛の『ステーキ専門店』を手伝っていました。もう生活の一部というくらい当たり前に。だから、今こうして焼肉店を経営しているのは、私にとって特別なことでもなく、自然な流れかもしれません。ただ、そのまま家族と一緒にお店を切り盛りしていく流れには、あらがいたかったんですね(笑)。企業として独立させ、自分が理想とする今までにない焼肉店を追求し実現させたかったんです」
2003年、5月。母親の店からは、1km程離れた場所で焼肉旬菜『松庵』を晴れて独立オープンさせた。先代から受け継いだお店「松本」の一文字を取った “松”と歌舞伎の名題役者が世の中に名を馳せるために掲げる「庵看板(いおりかんばん)」の“庵”の字からなる店名は、俗に焼肉店の匂いがしない。そこはかとなく繊細。そんな店名も焼肉への矜持を感じさせる。
「単に高級肉を出せば、お客様はおいしいと思ってくれる…それってちょっと甘いんじゃないの?という焼肉屋さん、結構あると思うんです。自分はそれが許せないんです。例えば、A5ランクの飛騨牛は最高級のお肉ですが、仕入れる日や、時期、霜ふりのバランス、熟成具合…というちょっとした状況によって、時にはA4ランクのほうが又は違うブランドのほうのが、遥かにおいしいことがあるんです。表示はあくまでもガイドライン。必ずプロである社員が一つづつ目利きし自信の持てるお肉しか、お客様に出しません」
肉の良し悪しを、見て触って、脂が体温で溶ける感じを指の上で、舌の上で、確かめる。溶け方がサラッとしている時もあれば、もたつく時もあるのだとか。様々な部位の焼肉をみんなでテイスティングしながら肉の研究会も頻繁に行われる。そこでは素人には理解不能な会話が飛び交い、松庵流・美味しんぼの世界が繰り広げられている。
これも焼肉をおいしく食べる新しいスタイルのカウンターテーブル。お寿司屋さんのカウンターでオーダーするように、二切れから肉をオーダーできる。少しづつなら、いろいろな種類を食べることができる。2時間位かけてゆっくり楽しんで欲しいと通常より贅沢なテーブルスペースが設けられている。
「個室」「掘りごたつ」「テーブル席」「カウンターテーブル」と、いろいろな目的、シーンでお店を利用できる。
「何だか焼肉オタク集団みたいですね(笑)。でも食を届けるということは、責任のあること。いいかげんなことをしちゃいけないし、サボっちゃいけない。また食べたいと思わせる感動を創らないと。だから松庵では、月に何度もミーティングを設け、良かった点、悪かった点を洗い出し、厳しく話し合い、常に一つ上の店をみんなで目指しています。勉強や経験を積み上げていくことは大変だけれど、そうすることでお客様から必ず喜びをもらえます。これって、生きることの最終的な目的なんじゃないのかな。松庵で働く人はみんな本物を見極められる一流の人になって欲しいんです」
おいしい肉をプロの目で厳選する。それは当たり前。松庵の焼肉が最上級においしいのは厳選だけでは作れない。肉を主役に、その持ち味が最大限に活かされるよう、あらゆるノウハウが乗算されて100点以上のおいしさが作られている。
「いい肉を見極めたら次は肉の旨みを相乗させる下味が重要です。気温や湿度によっても調味料のバランスをちくいち変えます。でも一番の秘伝は肉に最適なフルーツを贅沢に使っているところでしょうか…そして焼肉といったら、おいしい白ごはん!焼肉に合う甘みのお米をオリジナルでブレンドし、炊きたての白い湯気を絶やさないリレー炊きでお客様のテーブルへお出ししています。…おいしさの話はこの辺にして、後はぜひ、お店に来ていただいて方程式を解いてみてください(笑)」
不況の折にもリピーターのお客様が増え続けている。そんな松庵のお店作りは、焼肉業界を大きく変革していく要になっていきそうだ。
「一人でも多くのお客様に、おいしいお肉を味わって欲しい。この想いはずっと変わりませんが、これを実現していくには、新しいビジネスモデルが必要だと考えています。今の松庵のスタイルは最高のおいしさを維持するためにも5店舗までしか出店はしませんが、新しいモデルの焼肉店なら『おいしさ』を東海エリアで50店舗のFC展開でお届けできると思っています。まずは、夏までには新しい繁盛店モデルを稼動させ、セントラルキッチンと物流システムを完成させていく予定。そして、以前から要望の高かった店舗コンサルタントを事業として確立させていきます。もちろん、この新規事業にともない、新たな人材採用も積極的にしていきたいと思っています」
失敗しても回復力と成長力の高い、まっすぐな若い人に期待しているという。
「若い人は、もっともっと失敗すればいいんですよ。それを受け止めるフィールドと新しいフィールドが松庵にはあるから」
松本 幹裕氏(39才)
有限会社 ショウアン 代表取締役
子供の頃から家業の松阪牛炭火焼ステーキ「松本」を手伝い、肉の良し悪しを見極める目利きの術を百戦練磨で鍛える。2003年5月、松庵 本店を、2006年10月には松庵 東桜店をオープンさせた。学生時代はパンキッシュなスタイルに身を包み、ロックバンドでボーカルとドラムを担当。最近のメジャー音楽はピアノジャズ。社員とその家族皆で旅行する時が何より楽しい。今年は沖縄を満喫した。愛知県出身。
| 社名 | 有限会社 ショウアン |
|---|---|
| 住所 | 本店/北名古屋市高田寺東の川32番地の2 東桜店/名古屋市東区東桜2-15-30 |
| 従業員数 | 35名 |
2009年2月掲載
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