香りのよい脂肪と弾力。噛む度に旨みとシアワセがふわりと広がる。まさに記憶に残る純系名古屋コーチンの味をもっと多くの人達へ。そんな想いと今の時代をカタチにした鳥開総本家が全国展開に向けて、着々と動きはじめている。根強い人気の秘訣は何処にあるのか。西村社長に尋ねてみた。
鳥開 丸の内店/大人数も可能なお座敷もあるので、宴会で美味しい鶏料理からデザートまで幅広いメニューが楽しめる
鳥開総本家 霞ヶ関店/全国展開を目指し関東進出の第一歩となった
社内はもちろん、同業の若者からも絶大な支持を得ていると噂に聞いている。少し堅い経営論や人材感の話しも西村社長がすると、とにかく楽しく明るい。が、その結論は折り目正しく一つひとつ真摯。過去の失敗や挫折、学歴なんかは関係ない、今を一生懸命考えがんばっている人を決して見逃せないという。そんな社長に多くの若者が惹きつけられ、集って来てしまうのも無理はない。
子供の頃の夢は野球選手になることだった。伊勢志摩の漁師町で豊な自然と美味しいものに囲まれて育つ。本物のオイシイを貫いた店作りの素地はすでにこの時、築かれていたのかもしれない。
初めて店をオープンさせたのが、「鳥開総本店」の名古屋駅西口店。29歳の時。
「独立する前は営業やサービス業の経験、そして自信も(笑)かなりありましたが飲食店は初めて。でも、人と関わるサービス業で何かをやりたいという想いから飲食店で独立をしようと決意しました。じゃぁ、何の飲食にしようかと考えた時に、世界中で最も消費されているのは牛でもなく、豚でもなく、実は鶏肉だったという・・・価格も安定しているし、何よりも名古屋には名古屋コーチンを代表とする鶏文化があるじゃないか!ということになったんです」
子供の頃から慣れ親しんだ郷土の味は決して消えることはない。この世の中に、絶対という戦略や戦術などないかもしれないが、そんな食文化をベースにしたコンセプト(業態)で店舗展開している同社は、100年に一度と言われる不況に動じることなく売上を伸ばしている。もちろん強さの理由はそれだけではない。
鳥開総本家ラシック店/名物親子丼。純系名古屋コーチンの旨みをあますことなく味わって欲しいと、香りが移るタマネギ等の野菜を一切入れてない。丼ダレは上品な薄味だがダシの旨みはしっかりと際立っている。とろフワッの感触にリピータが絶えない一品
最高峰の味。名古屋コーチンを一人でも多くの人に知って欲しい
とりとろ炙り焼き。このシズル感はくせになる。はずせない超人気メニュー
「鳥開総本家」は名古屋を中心に8店舗、そして関東に2店舗を展開している。いずれも、名古屋コーチン、国内地鶏といった、こだわりの食材を中心にしながら「旨い鳥・焼き・揚げ」専門店の枠を越え、各店舗のスタイルが少しづつ異なる。
「ねじりハチマキのおやじさんがやる焼鳥屋でもなく、敷居の高い高級鶏料理店でもない。一部のお客様ではなく、幅広いお客様に来てもらうことで需要を創出したい。おしゃれなOLさんにも、お疲れ様といいたくなるお父さん、子育てに忙しい主婦の人にも来て欲しい。今までのカテゴリーにはないお店にするにはどうしたらいいのか・・・一番最初に鳥開総本店をオープンさせた当初は、JAZZをBGMに熱々の瓦で焼鳥を出してみたり、手探りでいろいろ嗜好錯誤しながらお店のコンセプトをブラッシュアップしていきました。今は出店エリアのマーケット層に合わせて各店舗、さりげなく味付けや、空間、サービスのスタイルを変化させています。例えば、昨年の12月にオープンしたばかりのラシック店では、ラシックに来店されるような女性は何を好むのか・・・イメージし、味付けを他店舗より一層優しくしたり、メニューを企画しています。良質な鶏肉という軸足は変わりませんが、出店エリアのマーケット層の好みは何なのかを店長やスタッフで考え、店が10店舗あるなら10のストーリーがある店を繰り広げてくれればいいのです」
こうでなければいけないという店のコンセプトはない。ただし、スタッフには「恋愛力」が必要だと西村社長は笑っていう。恋愛力?
「恋愛のマニュアル本をそのままやっても、うまくいかないでしょ(笑)。相手はみんな同じタイプじゃないから。相手によって喜ぶことや好きなことを一生懸命考え、プロデュースしていかないと。これは私たちお店のスタッフのお客様に対するスタンスと同じだと思うんです。この恋愛力があると、スタッフの笑顔も、瞳の輝きも、声のトーンもワンランク上がるから不思議です」
同社は今年で10年目を迎える。出店ペースや業態展開は、いたって堅実に見えるが、これまでに迷いやつまずきはなかったのだろうか。
「こうして着実に売上を伸ばしていけるということは、今までまじめにやってきたことが間違っていなかったのかな、と思っています。でも、自分達ではどうすることもできない外的要因がいつ何時降りかかってくるかは、わかりません。鳥インフルエンザの時がそうでした。初めての大打撃でしたから、鶏一筋ではなく何か他に始めたほうのが施策としてはいいのだろうか・・・もう、いっそ店をしめたほうのがいいのか、店を維持していくためには、鶏肉のランクを下げたほうのがいいのかと、正直すごく迷いました。でも、自分がいいと思えないものを出してまで店を続けていくことに意味がないと思い、ぎりぎりの所で覚悟を決めました。結局、お客様は少しづつ戻って来てくれました。名古屋コーチンの安心とスタッフの誠実なサービスが信頼となってお客様の心をつなぎ留めてくれたのです」
お客様の心を掴むためには「感動」が必要。そして、その心を掴んで離さないようにするには「信頼」がないとだめなのだ。強いビジネスモデルがあるだけでは、企業は成長を継続できない。
「将来的には、名古屋コーチンを専門とした店舗で全国NO.1のシェアを持つ企業に育てたいと考えています。こんなにおいしい食文化をもっと多くの人に知ってもらわない手はないですよね。一般的に、コーチン料理を食べると一人7~8000円はしますが、当店なら3500円位から楽しめます。今以上に店舗のスケールメリットを出せれば、お客様には、よりワンランク上の料理をワンランク下のプライスで提供できます。ここにおいてもオンリー1のバリューを創っていきたいのです。ただし、その前に今は関わる全ての人との信頼をより強固にすること。そのためには人材を育てることに力を注ぐことが先決だと考えています」
野球でいう、今は守りで攻めるということなのか。
では、どういう人材が必要とされているのかを聞いてみた。
「サービス業ですので、人と接するのが好きだということが大前提にはなりますが、資格や経験は全くなくていいです。必要なのは、気持ちのいい挨拶、笑顔、そしてまじめであること。当たり前と言えば、当たり前なんですけど、その人の生きる姿勢とでもいうのでしょうか。技術だけがあってもだめなんです。非科学的な部分をバランス良く持ち合わせていないと心に届く料理やサービスは一生できないんです。そして、最後はチーム力かな。皆と一緒になって自分も磨いていきたいと思える人。最初は何もできなかった未経験者も、当社で育った人がチームワークを発揮すれば、スゴ腕の経験者がそろっているだけのチームより、十分強さを発揮するんです」
もし、今の仕事をしていなかったら何になりたいですか?の問いには、
「高校野球の監督!」と無邪気に答えてくれた。
ずっと続けている野球チームではキャッチャーの西村社長。野村監督の監督論が少し頭をよぎった。
西村 和則氏(39才)
株式会社プログレ 代表取締役 社長
独立を目的に営業、サービス業等の経験を積む。平成12年に「鳥開総本家」1号店をオープンさせた。平成19年には全国展開の一歩として関東進出を図る。平成20年にはラシックに出店するなど商業施設への新たな展開も。趣味は野球に美味しいものを探究すること。健康管理のため5kmのランニングは欠かせない。三重県出身、39才。
| 社名 | 株式会社プログレ |
|---|---|
| 住所 | 名古屋市東区東桜2-3-38 |
| 設立 | 平成14年5月 |
| 資本金 | 1000万円 |
| 年商 | 7億円 |
| 従業員数 | 150名(アルバイト含む) |
| 事業内容 | 飲食店の運営、惣菜販売 (中部圏のイオン・ジャスコ系列のお店47店舗にて販売) |
| 店舗 | ●鳥開 総本店 ●コーチン料理専門店 鳥開 ●ぽっちり ●鳥開 丸の内店 ●もつ焼き・もつ鍋 ちょこや ●鳥椀 ●鳥開 総本家 名駅南店 ●鳥開 総本家 ラシック店 ●鳥開 新宿総本店 ●鳥開 総本家 霞ヶ関店 ※名古屋市内に8店舗、東京都に2店舗 |
2009年4月掲載
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