年配の方から若い人まで、東海ではまず知らない人はいないだろうというキャッツカフェ、麻布十番モンタボー、さんもりっつをはじめ、最近では元町珈琲、大地のテーブルといったブランドが加わり全国125店舗を展開している同社。創業25年になる。「今が一つのターニングポイントかもしれない」と臼杵氏は語ってくれた。
キャッツカフェ名古屋港店/若年層向けのパフェの店ではなく、子どもからお年寄りまで気軽に入れる店に。そしてカフェだけでなく、ついでに食事もできるフードの充実を図っている
「自分たちが納得できるまで試食を重ね、メニューを企画開発することで社員の一体感が生まれ、その情熱はお客様にも伝わるのです」
以前は東京を拠点に外食産業の大手企業から個人の店舗に至るまでコンサルタントとして全国を飛び回っていたという。そんな臼杵氏の手腕と評判を聞きつけたのか。株式会社スイートスタイルの取締役副社長に臼杵氏が就任したのは暑さがまだ少し残る昨年9月の頃だった。まず臼杵氏が着手しているのが、レストランカフェ事業部の『キャッツカフェ』である。
創業と共に産声をあげた『キャッツカフェ』は25年を迎える。
「流行りすたりの激しいこの業界で25年間、全盛期の頃と全く同じとは言えないが、ずっと走り続けている『キャッツカフェ』は稀な存在でしょうね。でも今以上に、魅力的な存在として継続させていくには、このままでは絶対に無理でしょう」
絶対に無理と言い切る臼杵氏の言葉の裏側には、やり方を変えれば『キャッツカフェ』はまだまだ新しい輝きを放ちはじめるという自信と確信が透けて見えた。
「どんな大手企業も、更に成長できるか衰退するかの一つの節目は25年とよく言われています。だから『キャッツカフェ』だけでなく、株式会社スイートスタイル自身がちょうど今、踊り場にいる感じなんです。コンサル会社を立ち上げ5年間位、何百という飲食店を見てきましたが。大きく成長する直前には必ずこの踊り場があるんです」
自信と確信だけでなく、新たな幕開けに静かな興奮が伝わってきた。
『キャッツカフェ』と言えばバラエティーに富んだパフェや巨大パフェの店という印象が強いが、臼杵氏はこの店をどう進化させていこうと考えているのだろうか。
「例えば今、世の中で流行っているスイーツがこの先ずっと流行るってことはありえません。そして、業態疲労したら次々新しい店に変え、短期的に成果を出すのは簡単です。そうじゃなくて、『キャッツカフェ』は永続的に多くのお客様に受け入れられるお店に再生させようと考えています」
永続的に多くのお客様に受け入れてもらう。そんな店はいったいどうやったらできるのだろうか・・・
「流行りのスイーツも、流行りのハコもすぐに飽きちゃうでしょ。でも人を気持ち良くしたり、癒したりするサービスに飽きる人はいないですよね。それどころか、いつもそうされたいと心の中では願っているはずです。つまり、いつまでもパフェのイメージに頼るのではなく、サービスを生み出す人の育成からやり直すということです。人の育成が一番時間も手間もかかりますが、企業はこれなくして大きく長期的に成長することはありません。そして、人の育成に大事なのが何よりも働く社員の意識を変えていくことが重要なんです」と臼杵氏は言う。
店の業績が悪くなると会社もつい目の前の数字だけに囚われ、社員や店長を詰めてしまう。苦肉の策でキャンペーンやメニューを変えてみるが、一時的に売上数字が上がることはあっても続くことはない。また数字だけを詰める。この繰り返しが続くと社員も働くのが辛くなってくる。当然、社員の表情は暗くなる。・・・そんな店は誰も行きたくないはずだ。
「まずはそれを断ち切るために数字だけでマネジメントするのを一切辞めています。ここは経営側もぐっとこらえなければならないところです。でも社員全員が、明日店に出るのが楽しみだと思えるようになったらしめたものです。全てが必ず好転して行きます。意識が変われば身だしなみも自発的に変わります。そして笑顔もマニュアルではなく自然とこぼれるようになるんです。最近、社員の表情や顔つきが以前より断然いいんですよ」、と話す臼杵氏の表情も断然うれしそうだった。
急速な成長ではなく、継続的成長ができるロングセラーなブランドを育てることで、お客様には充実したサービスをお届けし、社員は誇りの持てる仕事と豊な人生を実現させます
「ところで、毎日行きたくなるようなお店ってありますか?」と臼杵氏からの不意な質問がきた。
改めて考えてみると意外に心当たりの店が出てこなかった。ちょっと気になる店や、ちょっと新しさに飛びついてみたくなる店はあるけれど・・・毎日行きたくなるようなお店は案外ないものだ。ありそうでない。あっ、これが『キャッカフェ』が目指す存在なんだ。
情報も刺激もいたる所にあふれ、成熟の時代と言われているが、人の心は成熟どころか心の空きスペースを埋めてくれるモノやサービスを待っているのかもしれない。
じゃぁ、毎日行きたくなる店とはどんな店なのだろうか?
「店に入った時、自分の居場所があるお店ですよ。つまり、居心地がいいお店です」と臼杵氏は答えてくれた。
居心地がいい店かどうか、店長には店内の全ての席に座ってもらい、そこからの眺めはどうか、隣の席との距離感はどうか・・・その席からまわりが見え過ぎて落ち着かないことはないだろうか?グリーンの位置はここではたしていいのか、邪魔になっていないだろうか等、自ら敏感に感じとってもらい、細かく配慮したレイアウトを工夫し考えさせる。お客様が無意識に感じとっている快、不快を瞬時にとらえ、それを理論値で打ち出すことで居心地のいい空間が常に保てるようにしているのだ。
「キャッツカフェという店にお客様はフランス料理や1万円以上もする料理を食べに来ているわけじゃないんです。そう考えるとお客様が私たちに求めているサービスとは何なのかが自ずと見えてくるはずです」
トップダウンで指示してしまえば簡単だが、それでは人は育たない。そして、指示されただけの人は自分の部下を育てることはできない。だから、臼杵氏は指示をするのではなく、社員のスイッチが入る場面や機会をどれだけ作り、本人に気付かせるか、それに力を入れている。社員教育も体感を大切にしたロールプレイングが中心だという。
「優秀な人材が育つ土壌や文化がある企業を創りたいんですね。そして、地域の人達からずっと愛され、そこで働く人達もずっと幸せであって欲しい。それが私の願いです」
サービス業が大好きでがんばっている人達が幸せであって欲しいと臼杵氏の口から何度となく出てきた。
コンサルタントとして華やかな実績を持つ臼杵氏だが、学生の頃からありとあらゆる飲食店のアルバイトを経験し、サービス業が好きだというシンプルな想いだけで飲食業界に飛び込み営業部長まで昇り詰めるが、突然の父の病で会社をやむなく辞めている。
「サービス業は好きだけど、家族を持ったり一生働くのは難しいかもしれないという矛盾する気持ちに苦しんでいる人は少なくないと思うんです。私自身、昔それに悩まされてきた経験がありますから。当社に入社してそういう思いは絶対にさせたくないんです」
そう語る臼杵氏にはリアルな想いが込められていた。
最後に飲食業界で働く上で何が一番大事なのかを尋ねてみた。
「大事なことはたくさんあるけれど、最後はやっぱり、健康管理かな。店員が不健康そうなお店では食欲はそそらないですから(笑)」
仕事柄、試食も多いのでウエイトコントロールするためにも自分でプログラムを組んだメニューで毎日、ジムトレーニングを欠かさないという。
仕事だけでなく、ライフマネジメントができて一流のプロフェッショナルになれるのだ。
臼杵 慎氏(41才)
株式会社スイートスタイル 取締役副社長
学生の頃から飲食業界で数々のアルバイトを経験。その数、800件以上に及ぶ。高級レストラン・ホテルからお好み焼きまで。幅広い業態のノウハウを蓄積させ業界の魅力に惹き込まれる。大学卒業後、大手飲食会社に入社。営業部長を経てフードコンサルタントとして独立。現在、取締役副社長には2009年9月に就任。得意なスポーツは柔道にラグビー。スポーツだけなく学生の頃はベースギターもこなすという。東京都出身。
| 商号 | 株式会社スイートスタイル |
|---|---|
| 創業 | 1984年 |
| 代表 | 代表取締役社長 目黒 誠一 |
| 資本金 | 1億円 |
| 本社 | 〒462-0841 愛知県名古屋市北区黒川本通2-46 黒川ビル4F TEL/052-912-0362 FAX/052-910-8430 |
| 岐阜オフィス (中部セントラルキッチン) |
〒501-6063 岐阜県羽島郡笠松町長池字宮代219 TEL/058-387-6181 FAX/058-387-6184 |
| 銀座オフィス | 〒104-0061 東京都中央区銀座1-15-2 銀座スイムビル5F FAX/03-3563-0834 |
| 事業内容 | 麻布十番モンタボー、キャッツカフェ、大地のテーブル、元町珈琲、さんもりっつの直営及びFC展開 |
| 店舗数 | 全国125店舗(2009年9月1日現在) |
| 社員数 | 263名(2009年9月1日現在) |
| URL | http://www.sweetstyle.co.jp/ |
| 沿革 | 1984年 7月 株式会社キャッツ設立(現:スイートスタイル) 2005年 5月 株式会社サンモリッツを統合 2007年 8月 株式会社モンタボーと株式会社キャッツが合併 株式会社スイートスタイルに商号変更 2008年 10月 元町珈琲事業を譲受 |
2009年12月掲載
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