最後のお楽しみの
デザートは
ニューヨークで。

株式会社オー・デリス・ドゥ・シバタ
オーナーパティシエ 柴田 武氏(39才)

行列のできるスイーツの店として知られるシェ・シバタ。オーナーパティシエは多治見市出身の柴田 武氏。高校生の時は野球児だったという。今秋9月には海外2店舗目のシェ・シバタ香港がオープン。多治見からジャパンオリジンを世界に発信していきたいと熱く語る。お菓子だけでなく柴田氏のアグレッシブな生き方にもファンは多い。

お菓子づくりは、
自分の生きる姿そのもの


シェ・シバタ名古屋/地下鉄「覚王山」からすぐの所にある。懐かしい日本を感じさせる街並みがシェ・シバタ名古屋を一層、スタイリッシュにひき立てている。店内ではゆったりイートインもできる シェ・シバタ名古屋/地下鉄「覚王山」からすぐの所にある。懐かしい日本を感じさせる街並みがシェ・シバタ名古屋を一層、スタイリッシュにひき立てている。店内ではゆったりイートインもできる

シェ・シバタ名古屋/地下鉄「覚王山」からすぐの所にある。懐かしい日本を感じさせる街並みがシェ・シバタ名古屋を一層、スタイリッシュにひき立てている。店内ではゆったりイートインもできる

シェ・シバタ香港/昨年、上海に店をオープン。オーナーパティシエで日本人初の海外進出を果たし、今秋9月12日には高級ブランドが立ち並ぶ九龍地区「ELEMENTS」にシェ・シバタ香港をオープンさせる

シェ・シバタ香港/昨年、上海に店をオープン。オーナーパティシエで日本人初の海外進出を果たし、今秋9月12日には高級ブランドが立ち並ぶ九龍地区「ELEMENTS」にシェ・シバタ香港をオープンさせる

レトロとモダンが不思議と溶け合う、日泰寺へと続く参道の途中に「シェ・シバタ名古屋」はある。取材で店に着いた頃はすでに夕刻を過ぎていた。アフタヌーンティーにはやや遅い時間だというのに店は驚くほど活気にあふれていた。お客様は気軽に立ち寄ったというより、わざわざこの店にお菓子を買いに来たのだという空気が、ショーケース越しにお菓子を選ぶ真剣な眼差しで感じとることができる。

同じようにガラス越しから見える厨房の中もお菓子作りに取組むスタッフの活気にあふれていた。そして、その合間を縫うかのように忙しく動き回る柴田氏の姿があった。

お菓子作りにこんなにも大勢の手がかけられているのかと想うとその労に驚いたが、それ以上に、柴田氏も若手スタッフと同じように真剣勝負でお菓子作りに挑んでいたのには驚かされた。

最近の柴田氏の仕事は有名パティシエという枠を完全に越えている。海外進出、大手流通とのタイアップ商品のプロデュース、出身地多治見の観光大使、若手育成のための講演、様々なメディアへの出演等々、あげたらきりがない。

「こんなデフレ時代に、積極的に店舗を増やしているのを見て、僕はもうお菓子作りをしてないんじゃないかって・・・そう思っている人も多いみたいですね(笑)」

国内に4店舗を構え、海外にも進出を図り9月12日には海外2店舗目であるシェ・シバタ香港がオープンする。

ここのところ、柴田氏のスケジュールは月に10日間位が海外での仕事だという。

「飛行機のトランジットでふとできた空き時間、一人空港のロビーで自分はいったい何をやってるんだろう・・・なんていう気持ちに襲われることもありますが、どこにいても何をやっていても自分はお菓子職人以外の何者でもないんですよね。仕込みは相変わらず自分でやりたいし」

店舗を拡大するのも、海外進出するのも、それは目的でもビジョンでもないと柴田氏は言う。

「小さくてもいいから、ケーキ屋さんをやりたいとよく人は言うけれど、一生お菓子職人で生きていこうと思うと、小さいケーキ屋さんでは生き残っていくのが難しいんです。僕は60歳を過ぎても、自分が使いたい素材だけを集めて、自分が作りたいお菓子をつくっていたいんです。だから攻めるんです。職人だけじゃなくて、経営者としてスピード感のあるビジネスをしていく必要があるのです。もちろん、一流のパティシェになるんだという夢を持って集まって来てくれた社員やシェ・シバタのお菓子を食べたいと思ってくださるお客様のためにもね」


クール・ジャパンを
もっと世界へ

クー・デ・ボア/情熱的で甘いフォルムからは想像をもしなかったフレーバーに軽い衝撃を覚える。酸味をきかせたフランボワーズのジュレがキリリと大人スゥイーツに仕立て上げている

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シュー・ア・ラ・クレーム/すぐに完売になってしまうシェ・シバタのスペシャリティーの一つ。普段よく食べるシュークリームと全く異なる。他にはない唯一のシュークリーム

シュー・ア・ラ・クレーム/すぐに完売になってしまうシェ・シバタのスペシャリティーの一つ。普段よく食べるシュークリームと全く異なる。他にはない唯一のシュークリーム

シェ・シバタのお菓子は、パリの郷愁がせつないくらいに凝縮された古典とアバンギャルドの二律背反が刺激的な関係で同居しているようにも見える。印象的な色彩や濃厚なのに軽やかなおいしさは簡単に忘れることができない。だからまた、並んででも食べたくなるのか。

シェ・シバタのお菓子の魅力はいったい何でつくられているのだろうか・・・。

お菓子の道に入ったきっかけは、子供の頃母親が時折作ってくれたケーキと、どうしようもないくらいのフランスへの憧憬だったと言う。

「最初は特別、独立志向が強かった訳でもないんです(笑)。父親のちょっとした一言が引き金になり24歳の時、自分には重すぎる程の借金を背負い出身地である多治見にシェ・シバタの1号店をオープンさせました。お菓子職人としての経験もまだ浅く、華やかな経歴があるわけでもなく・・・。何もないからこそ、コンプレックスと反骨精神が自分を支えていたように思います。それは今も変わりはありません」

当時、話題のスイーツと言えばいつも東京や大阪が中心だったが、ローカルな一軒の個人店が関東のスイーツフリークの目に止まった。

それがシェ・シバタ多治見だった。

口コミがメディアで広がりシェ・シバタの人気に火がついていった。

今でこそ行列のできるスイーツの店で知られているが、最初からそうだったわけではない。

「フランスへの強い憧れからか、店を始めた頃は『フランス菓子』を作ることに一生懸命になっていました。でもある時、気づいたんです。例え上手く作れたとしても、そこに自分のエスプリがなければ、お客様がそのお菓子に手を伸ばしたいと思わせる強い引力を放つことができないんだということにね。『僕じゃないとつくれない』、そういうお菓子をつくろうと心に決めました」

始めは恐るおそるだったという。自分の想いは果たして受け入れられるのだろうか・・・手っとり早く皆が受け入れやすいロールケーキやプリンをつくったほうのがいいんじゃないのかと考えることもあった。それでも、確実に根強いファンが増えていくのを感じると柴田氏のお菓子づくりのスタンスは、確信に変わっていった。

「僕もそうだったように、お菓子と言えば皆がヨーロッパを目指していた時代もありました。でも、今はそうじゃない。ミシュランでも日本は世界一の食通と評したように世界はジャパンブランドに注目しています。だからお菓子職人も、人としてグローバルであることが重要な要素になってくると思っています」

今、海外でのお菓子づくりがおもしろくてしかたないと柴田氏は言う。

「その国が持つ空気感や刺激が僕に新しいお菓子づくりを触発させるのか、つくりたいものが次からつぎへとあふれて止まらないんです。日本ではよくキャリアが重要視されますが、世界ではそんなことは全く関係ありません。今、何ができるのかが全てで、それを評価するのはお客様。過去の経歴より今の自分を常にブラッシュアップしチャレンジを続けることが何よりも大切なんです」

海外ビジネスというより、海外アドベンチャーを楽しんでいるかのように見える柴田氏。

いろいろな国でいろいろな人やモノと出会い、奇跡のお菓子が生まれ人を感動させる。

「まだまだ先だけどね、アドベンチャーの最終章の地はニューヨークのマンハッタンあたりにしようかな(笑)」


柴田 武氏(39才)
株式会社オー・デリス・ドゥ・シバタ 代表取締役社長
PROFILE

柴田 武氏(39才)
株式会社オー・デリス・ドゥ・シバタ 代表取締役社長

1971年生まれ、岐阜県出身。辻フランス料理専門カレッジ卒業。神戸のフランス料理店「ジャン・ムーラン」の菓子店等で修業を重ねフランスへ渡る。パリの「ホテル・リッツ・エスコフィエ」、「シェ・ミラベル」等で修業をし、1995年に「シェ・シバタ多治見」を。2006年に「シェ・シバタ名古屋」、2007年には「ラシェット・ドゥ・シバタ」をオープン。2009年には上海店をオープンさせ海外進出を果たし、2010年に香港店をオープン。


会社概要
商号 株式会社オー・デリス・ドゥ・シバタ
創業 1995年
設立 2000年9月
資本金 1000万円
代表取締役 柴田 武
事業内容 洋菓子製造販売/レストラン事業
本社所在地 〒507-0041 岐阜県多治見市太平町5丁目10-3
店舗数 国内4店舗 海外2店舗
海外事業先 上海、香港、台湾
URL http://www.chez-shibata.com
店舗情報
■シェ・シバタ 多治見
多治見市太平町5-10-3
[TEL]0572-24-3030
[営業時間]10:00~20:00
[休日]火曜日
■シェ・シバタ 名古屋
名古屋市千種区山門町2丁目54
[TEL]052-762-0007
[営業時間]10:00~20:00
[休日]火曜日
[交通]地下鉄東山線 覚王山駅1番出口下車 徒歩2分
■ラシェット・ドゥ・シバタ
名古屋市東区東桜1-1-10 Blossa(ブロッサ)1F
[TEL]052-957-5544
[営業時間]ランチ 11:30~14:30(L.O)/カフェ 13:00~16:30/ディナー 17:30~21:30(L.O) 23:00(close)/パティスリー 10:30~21:00
[休日]不定休
[交通]栄セントラルパーク(ゲート5A)出口直結
■シェ・シバタ上海
上海市紫云西路24号
■シェ・シバタ香港
Shop No.2003,2nd Level at Elements,Union Square, Kowloon Statin,1 AustinRoad West,Kowloon,Hong Kong.

2010年8月掲載


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